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ハーバード大学入試突破法

生まれは九州、小学生で渡米し、ハーバード大学を卒業した僕の経験談です。皆様のお役に立てば光栄です。

最近、高橋ヒロシ先生作の「クローズ」という漫画を読みました。すごく面白い不良漫画で、それを読みつくすまで近所の漫画喫茶へ通いました。


著者: 高橋 ヒロシ
タイトル: クローズ 1 (1)

主人公が通う鈴蘭高校は不良ばっかりということが有名で、登場人物誰一人と進学を考えていなかったと思います。いたとしても偏差値の高い大学は決して狙っていませんでした。


日本の大学はどうか知りませんが、ハーバードを目指すならば鈴蘭高校のような高校へ通うのは悪くない考えかもしれません。何故なら審査員の目には、レベルの高い高校の10位の成績を誇る志願者よりも、無名な高校のダントツ1位の成績を誇る志願者の方が新鮮に見える可能性が高いからです。しかもエッセイなどを通してその高校の実態を上手く伝えることができれば、新入生が似たものばかりになることを毛嫌う審査員は強い興味を持つでしょう。それにそういう高校で積んだ経験を生かせば、かなり面白いエッセイが書けるでしょう。何万というエッセイの中、「武装戦線との死闘で学んだこと」は必ず審査員の目を引くでしょう。ちなみに僕は中野の公園でチーマーに襲われたことについて書いたエッセイを提出しました。


高校二年の時、僕は始めてPhillips Exeter Academy という進学校のことを知りました。アメリカで一番レベルが高いと騒がれる高校で、噂では成績1位から40位まで皆ハーバードへの進学を保証されるそうでした。それほどレベルの高くない自分の学校で成績2位だった僕は、Phillips Exeter Academy の生徒でなかったことを悔やみました。転校まで考えました。しかしハーバード入学後、Phillips Exeter Academy の卒業生と知り合い、噂はデタラメだということを知り、更にその生徒が化け物のように頭がいいことを知り、高校の選択を間違っていなかったことを確信しました。

僕はSATを受けて、MATH760点、VERBAL630点、あわせて1390点取りました。「確かSATは1600満点だから、1390点程度でよくハーバードに入れたな」とおっしゃる方もいるでしょう。そのとおり、ハーバードに合格するのにSATで満点近く取る必要はないのです(もちろん満点近く取ったハーバード大学生は多いでしょうが)。現に僕は1250点で入れたようです(合格通知と一緒に送られてきた書類上では、僕のSATの点数は1250点となっていました。1390点取った後、僕が急いで報告したのにもかかわらず)。


しかしいくら大学入試がSATだけではないといえど、SATで高得点を取って損はないでしょう。僕も高校時代そう思い、夏休みの始めにSAT攻略本を買い込んで勉強しようとしました。しかしどこかで「大学入試はSATだけではない」という思いがあったせいか、夏の街を歩く女の子の眩しい肌が目に付いてしまったせいか、勉強は全然はかどりませんでした。単語を覚えようともつまらなく、攻略法を読んでも実用性に欠けているように感じて、攻略本についている数少ない過去のSATのコピーを使ってしまうのはもったいないような気がして、結局何も出来ないまま夏を終わらせてしまいました。


その結果1250点です。これではいけないと思い、友達の勧めで手に入れたのが過去のSATのコピー集です。今でも売られているようですね:


 
著者: Princeton Review
タイトル: 11 Practice Tests for the New SAT & PSAT (Princeton Review Series)

もちろん僕が使ったのは古いバージョンですが、すごく役立ちました。SATで点数を上げたいならば、SATに慣れるべきだと気づきました。過去のSATを何度も受けているうちに、問題のパターンがつかめてくるような気がしました。A,B,C,D,Eの答えから正解を選ぶ際、「Aはパッと見で判断する人向けの落とし穴。Bは正解の逆。Cは正論ではあるんだけど問題には関係ない。だから正解はDかEだろう。」ってな具合に。ビデオゲームの攻略本を読みまくるよりも、実際に何度もそのビデオゲームをする方が上手くなるような感覚です。


その経験を覚えていたせいか、僕はGMAT(ビジネススクール入試で受けなくてはいけない試験)の勉強するのに、何度でもサンプル試験が受けられる設備が整ったKaplan の施設を使わせていただきました。講師が問題の解き方を説明する授業にも出たのですが、やはり一番役に立ったように感じたのはサンプル試験でした。おかげで800点中760点という高得点を取ることができました(結局ビジネススクールへは行かないことにしましたが)。Kaplan の施設を使うのは決して安くはないですが、検討する価値はあると思います。ちらっとホームページ見たところ、日本にもあるそうです。

ビジネスを成功させるにあたって、コネはとても大事です。大学時代の友達、知り合いというだけで仕事がもらえたりするんですから。卒業後僕が勤めていたコンサルティング会社は、そういうツテでいくつかの顧客を獲得していました。わからないことではありません。僕も大学時代の友達とでしたら、安心して仕事ができるような気がします(中にはよく知ってるからこそ一緒に仕事はしたくない奴もいますが)。

 

 

ですからTIGER さんのように、いずれビジネスをやろうと思うのならハーバードのような将来が期待できる人材が集まるところでコネをつくるのは悪くない考えでしょう。残念ながら僕は在学中、女の子のことぐらいしか頭になかったので積極的にコネをつくることをしませんでした。ですから自信持って提供できる情報は少ないのですが、もしTIGER さんがハーバードへ転入なさるのでしたら次のどれかに力を入れることを勧めます。
 

 

 

ハーバードの学生はほとんど寮で四年間暮らします。そして一年目以外はずっと同じ寮なので、同じ寮の同級生とは3年間ほぼ毎日、顔を合わせることになります。ですから本当に親しくなれるので、似たような将来図を持つ同級生がいれば近づくべきでしょう。

 

グループプロジェクトがあるクラス

同じクラスの生徒とグループを組んで課題に取り組むことが情報科学の授業で何度かあったのですが、将来のビジネスパートナーを探すにはこれほどいい方法はないような気がしました。お互いのスキル、考え方、人との接し方、長所短所がよくわかり、難しい課題を共に乗り越えれた時に堅い友情が生まれて、信頼できる仲間が増えやすい設定になってます。

 

Harvard Student Agencies

ここで社長になればハーバードビジネススクールへの進学を保証されると噂される、ハーバード大学生が経営する会社です。キャンパス内のクリーニング屋、掃除屋、雑用屋、広告代理店(ハーバード学生をターゲットとする会社向け)、出版社など色々やってます。僕も何度かこの会社に雇われて学校の寮の掃除や、学校近辺の家での食器洗いのバイトをしました。雇い人の学生は大人っぽく見えました。(悪くいえば老けて見えました。もう少し格好よくいて欲しかったです。そしたら僕も憧れて在学中、ここに「入社」することを考えたかもしれません。)

 

学校新聞

Harvard Student Agenciesと同じく、ここでも編集長になれば何処のビジネススクールでも行けると噂される、ハーバード大学生が経営する新聞です。僕のルームメートがこの新聞の連載漫画を描いてたので、度々話を聞くことがありましたが、とりあえずここに属する学生は授業をおろそかにまでして、新聞の課題をこなしているそうです。同じ寮の知り合いもこの組織に属していたのですが、何度か単位を落としていました。そこまで学生を狂わせるこの新聞、何かがあるのでしょう。

 

ファイナルズクラブ

アメリカの大学映画では必ずといってもいいほどfraternity(男子学生の同好会)のパーティーのシーンが出てきます。会場はそのfraternityが住む家で、音楽がガンガン流れ、参加者は浴びるように安いビールを喉の奥へ流し込み、男女はむさぼるようにジャレ合い、最終的には誰かが傷ついてしまう集会です。そんな映画のシーンが現実にどれだけ近いのかは知りませんが、fraternityに属していたということは、卒業後結構役立つと聞いたことがあります。同じfraternityの人間はお互いの面倒を見合うのが当たり前だそうなので、もし同じfraternityの先輩後輩で卒業後同じような道へ進むようなことがあれば、先輩は後輩にとって力強い味方となるのでしょう。

 

ハーバードにはfraternityと呼ばれるものはありません。入会儀式として、大量の酒を飲まさせる新入生がアルコール中毒で死んだりすることが少なくないから禁じられたんだと思います(僕が在学中の時も近くのMITでそういう事件がありました)。しかし似たようなものがあって、ファイナルズクラブと呼ばれてます。聞いた話だと同じようなことをしているそうです。僕も在学中入会を誘われたのですが(僕が留守中に無断で部屋に入ってきて僕の机の上に招待状を残していくという気色悪い手口で)、当時の彼女に反対されて断念しました。行ってみたかったです、Wellesley女子大学とのピックニック。

 

「アメリカの大学は、入るのは簡単だけど卒業するのは難しい」と聞いたことがあります。crypton さんも聞いたことがあるそうで、彼は間違った意見だと思われるそうです。彼のコメントを読んで僕も同意しました。伯父が僕に対してこの言葉を発した時、僕は不愉快でした。まるで「ハーバードなんて誰でも入れる」と言われたような気分でした。よほど抗議しようと思いましたが、彼の家で食事をご馳走になっている最中だったこともあり、黙ってシチューをすすり続けました。

 

 

でも確かに日本の大学と比較してみると嘘ではないかもしれません。アメリカでは受験に備えて幼稚園、小学生が塾へ通うような話は聞きません(塾が存在するのかどうかも知りません)。受験の苦しみから逃れるため自殺を選ぶ学生の話も聞きません(クラスメートを銃殺し、直後に自殺する高校生のニュースもありましたが、大学受験は関係ないでしょう)。それに家族が帰国したのに僕がアメリカに残った理由の一つは日本の受験勉強を避けるためでした。

 

 

卒業も確かに日本の大学の方が楽なイメージがあります。日本の大学生の話を聞くと、とても羨ましいです。受験地獄からやっと開放されて、自由にバイトしたり、サークル活動したり、毎晩飲み歩いて合コンしているようなイメージがあります。授業ももちろんありますが、仲間で工夫して出席日数が足りるように細工したり、ノートを写しあったりして、勉強は本当に試験前の数日だけで済ませてしまうのは、映画、テレビ、漫画の世界の中だけなのでしょうか?その点、アメリカの大学生は本当に真面目によく勉強します。もともと勉強熱心な学生が集まるハーバードはもちろん、高校時代はまるで勉強しなかった僕の友達も大学では勉学に目覚めていたようでした。活発なホルモンの分泌が落ち着いたせいでしょうか。

 

 

他のアメリカの大学生が熱心に勉強する理由が何かは知りませんが、僕の場合は勉強することが必要だったからでした。卒業後のことを考えて好成績を残すためという余裕のある勉強ではなく、卒業がかかった崖っぷちの勉強でした。情報科学を専攻するならば避けては通れない授業があり、その試験ではどんなに勉強しても赤点しか取れませんでした。難しすぎる、不公平だと抗議しようとも、同じ試験で満点を取る怪物のようなクラスメートがその余地を残しませんでした。仕方なく宿題やプロジェクトで点数を稼ぐしかありませんでした。しかしその宿題やプロジェクトもかなり難しかったので、自分でも気持ち悪いぐらいに社交的になってクラスメートに助けてもらう手段を取るハメになりました。

 

 

そこまで勉強で焦ったのは大学が初めてでした。そんな僕には、「アメリカの大学は、入るのは簡単だけど卒業するのは難しい」、結局当てはまってしまうようです。

 

先日tigerblog さんからハーバードの転入生について問い合わせをいただきました。現在彼は転入を検討しているようで、ハーバードの転入生はどんな人間か知りたいそうです。彼のブログを拝見させていただきましたが、かなり強い向上心の持ち主のように感じました。きっとその向上心のあまり、もっとレベルの高い大学への転入をお考えなのではないかと思います。

 

 

僕の知っているハーバードの転入生は真面目な方が多かったです。高校からの入試では惜しくもハーバードに受からず、大学一年目を他の大学で過ごし、好成績を認めれられて転入してきた方々でした。

 

 

何故一度落とされるような人間が、転入なら合格するのかはわかりません。でも僕の知ってる転入生はYale、Dartmouth、Wellesleyという高レベルの大学から来てました。ですから学力的には決して最初から合格したハーバード生には劣ってませんでした。所詮、アメリカの大学入試の合格、不合格なんて生身の人間が決めるものです。似たようなレベルの二人の志願者のうち、どっちを取るか決める際、一人の名前が偶然審査員の好きな俳優と同じだという理由で合格する可能性もないとは言い切れません。

 

 

しかし転入すると、犠牲を払うことになります。引越しなどにはもちろん費用がかかります。その上、せっかく大学一年目で出会えた友達と離れ離れになってしまいます。大学一年目は皆が皆新しい仲間をつくろうと積極的に動き回りますが、もう二年目になると落ち着いてしまっているのがほとんどです。とくにほとんどの学生が寮生活をするハーバードでは、そうなる可能性を高める制度があります。ハーバード大学生は二年目から卒業まで同じ寮に属さなくてはいけないのです(もちろん違う寮へ移る面倒な手続きを取ることも可能ですが)。食事はもちろん、様々な行事(卒業式まで)が寮ごとに行われるので、一緒に同じ寮に入ろうと決めた仲間と大学生活のほとんどを一緒に過ごすことになります。

 

 

そのせいか、僕が知り合った転入生の中には友達も少なく寂しそうに大学生活を過ごした方もいたり、転入生同士で(仕方なくとまでは言えませんが)仲間をつくってた方もいました。でも一人として転入したことを後悔する人はいないようでした。